ベトナムにおけるインスタント・ラーメン市場のメモ
皆さんこんにちは!VISTAブログ運営チームメンバーのミンです。本日は、インスタント・ラーメンがベトナムに現れ、どのように発展してきたのかを紹介していきたいと思います。
- 〜1990年代: ベトナム産インスタント・ラーメンの皇金期
1960年、日本発「チキンラーメン」が南ベトナム(当時ベトナム戦争であった頃)に輸出されました。チキンラーメンはベトナムに現れた初めてのインスタント・ラーメンブランドであるにも関わらず、あまり深い印象を残しませんでした。1972年、ベトナム産インスタント・ラーメン「Vị Hương」と「Miliket」が市場に登場し、特に「Miliket」は、21世紀に入るまでインスタント・ラーメン市場の90%のシェアを占めていました。
- 2000年〜2016年その1 -「HaoHao」が「Miliket」の王座を奪った
1993年、日本のAcecook社がベトナムに参入し、2000年に「HaoHao」インスタント・ラーメンを市場に紹介しました。「Miliket」は巨大なシェアを持つ「インスタント・ラーメンの王」だと呼ばれるほど人気でありましたが、Acecookに王座を奪われてしまいました。その原因は主に2つあります: ① 当時「Miliket」の生産技術がもう古すぎて、Acecookと比べ物にならない → 品質と味に負けた。② 今までの「過去の輝き」に自信を持ちすぎて、競争のために何の施策も打たなかった。一方、Acecookは積極的にマーケティングと新商品開発に専念した。
現在、残念ながら「Miliket」のシェアは90%からたった4%に落ちてしまった。Miliketは、これ以上ラーメンの戦いに参加する資金とマンパワーも無いと意識し、格安インスタント・ラーメンとして位置付けることになりました。今だと、スーパーに行けば「Miliket」を探せないことでもないが、顧客の目立つ場所には置かれていません。ちなみに、同社は、B2C市場のパイを取られた以来、業務用のインスタント・ラーメン(レストランや食堂で使う 1kgパックごとに売られている)でも活躍しています。「Miliket」の麺は本当に鍋の出汁と食べると美味しいので業務用分野ならまだまだイけます 笑。
実は1996年にベトナムの VIFON社もインスタント・ラーメンに参入しましたが、輸出に集中すぎたことで国内では「HaoHao」には勝てませんでした。Acecookと比べ、規模的にも競争するのが無理だと感じ、VIFONは現在一応インスタント・フォーでも知名度があるメーカーではありますが、どちらかと言えば、同社は調味料分野の方に専念しています。
- 2000年〜2016年その2 - Masanの台頭
Acecookを越えたいメーカーは沢山いましたが、その中で最も印象的なのがMasanでした。同社は、2008年に「Omachi」ラーメンを開発し、市場に売り出しました。MasanはAcecookの「HaoHao」 と差別化するために、ジャガイモを使って麺を作りました。ジャガイモの麺は、食べる時にニキビが出ないため、当時市販のインスタントラーメンよりはヘルシーだと評判が良かったです。つまり、Masanは、Acecookより高級セグメントを狙い、リーズナブルの価格を維持する戦略を取りました。
- 2017年〜: インスタント・ラーメンにおける新たな常識
Masanは、Acecookを超えるために次々新商品を開発し、芸能人が出るテレビコマーシャルに巨額の投資をしました。今でも、インスタント・ラーメン分野で、Masanはどのメーカーよりも高い広告宣伝費を投資しています。
さらに、同社は「インスタント・ラーメンにおける常識」を変えることを目指しました。具体的には、今まで、「インスタント・ラーメンと言えば栄養が貧しいため、どうしてもお腹が空いている時に食べるもの」という考え方が強かったです。Masanは、そんな常識を変えようと思い、1食分の栄養が入っているインスタント・ラーメンを開発し、消費者からかなり高い評価を得ました。今では、Masanのインスタント・ラーメンのシェアは北部でAcecookを超えました。
また、この年から、高級インスタント・ラーメンセグメントに参入する海外のブランドも前より次々と現れ、スーパーのインスタント・ラーメンコーナーに行くとまるでラーメンの迷路に入ったみたいです。逆に選択肢がありすぎると買い物は困りますね 笑。
- 一言
ベトナムは世界でインスタント・ラーメンの消費量が5番目に多い国です。ですので、インスタント・ラーメン対戦はこれからもっと面白くなると私は思います 笑。また、一時的に王座を守れたとしても、油断するといつでも王座を奪われてもおかしく無いですね。まさか当時2008年1.6%のシェアしか持っていなかったMasanが今では北部で Acecookを超えるなんて誰も思いませんでした。さらに、「競争する」というのは、無理にライバルを超えることではありません。改めて市場調査を行い、会社の資源を見直した上で自分の会社が必ず勝てるセグメントを探すことも大事です。私は「Miliket」の味が大好きなので、同社が第一位を守れなかったことによって少し残念だと思います。しかし、もし「Miliket」が無理矢理に「HaoHao」を越えようとする戦略をあの時に取ってしまったら、ひょっとしたら途中で資金がなくなり、 「Miliket」から市場に消えていたかもしれません。
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